リズと青い鳥の予習してたら新たな沼に引きずり込まれた話

最近話題の「リズと青い鳥」(以下リズ)という映画。
調べてみたところなにやら単品の映画ではなく、「響け!ユーフォニアム」(以下ユーフォ)のスピンオフ作品らしい。
色んな作品の影響(主にラブライブのせい)で百合に興味が湧いてきており、
私のTwitterの友人たちも口をそろえて「エモい」としか言えなくなっていたのを見て、
では私も…と軽い気持ちで、観に行くことを決めた。

一応ユーフォを見ていなくても楽しめるとの触れ込みではあったが、
旅行に行くにも計画を立てて動くタイプの人間なので、
せっかく見るなら、とユーフォを見てみた。

あまり時間もないので、1期の総集編となる「劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」を鑑賞することにした。
ぶっちゃけ面白くなかったらリズも観に行かなくていいか~という軽い気持ちで。

 

観始めた頃の私は
「男いんじゃん…」
「えぇ…男の幼馴染いんのかよ…なんで百合アニメの予習で男女の恋愛模様見せられなくちゃならんの…」
「は?脚本花田十輝じゃん…(ラブライブシリーズのトラウマ)」
「いつ誰が大ポカやらかすのか胃痛がする(ラブライブシリーズのトラウマ)」
と文句タラタラだった。

しかし物語が進むにつれ、圧倒的な作画とスポ根的ストーリー、
破綻しない脚本(重要)、演奏シーンの力強さ、
そして主人公の「黄前久美子」と準主人公的な立場の「高坂麗奈」の関係性に惹かれていった。

 

唐突だがあらすじを追いつつくみれいのすばらしさを紹介させてもらう。


黄前久美子 小学生の時からユーフォニアムで演奏していた。
      つかユーフォニアムってなに?って人もいると思うのだが、まあラッパの亜種みたいなやつ。
高坂麗奈  トランペットがめちゃ上手い。


久美子と麗奈は同じ中学で吹奏楽部をしていた(同じ部活というだけで特に仲良くはなかった)
コンクールで金賞を取ったものの、次の大会には進むことができなかった(ダメ金と呼ぶらしい)
久美子は悔しさで泣く麗奈に、何の気なしに「泣くほど金賞が嬉しかったんだ。よかったね」と声をかけてしまう。
次の大会に進みたかった麗奈にはそんなのもちろん煽りにしかならない。麗奈、キレた!!

時は過ぎ高校1年になった久美子。
色々なことをリセットしたいからと吹奏楽の強い高校には進学せず、北宇治高校という学校へ進学する。
新入生を出迎える吹奏楽部の演奏を聴くが、それはあまりにも酷いものだった。

なんだかんだ流れで吹奏楽部に入部することになった久美子。
もちろん麗奈も同じ吹奏楽部だ。
優男な見た目とは裏腹にクッソ辛辣でスパルタな滝先生を顧問に迎え、
練習もグダグダで演奏もバラバラだった吹奏楽部は、全国出場に向けて歩み始める。

ある日、久美子は幼馴染の男(男はどうでもいいので名前は覚えていない)に一緒にお祭りにいかないかと誘われる。
久美子は瞬時に、すぐ側に居た誰かの手を取り「この子と行くことにしてるから!」と断る。
その手は麗奈のものだった。
その場しのぎのつもりだったのだが、麗奈から「何時集合?」と聞かれ、結局一緒に行くことに。
ちなみにこの時点では、久美子と麗奈の会話はほとんどないし、仲もあまりよろしくない。

お祭りの日、麗奈の提案でなぜか楽器(ユーフォニアム)を持って山登りをすることに。

待ち合わせ場所で久美子を待っていたのは、白いワンピース姿の可憐な麗奈だった。
久美子はその可憐さにあっけにとられ「いや、かわいくてびっくりした」と告げる。


山を登りながらの会話。
麗奈「前から久美子と遊んでみたかった。久美子って性格悪いでしょ?」
久美子「それ悪口?」
麗奈「褒め言葉。中3のコンクールの時に本気で全国いけるのかって聞いたの性格悪いでしょ」
久美子「純粋に気になったからで、それやっぱり悪口じゃん」

麗奈「違う。これは愛の告白」

は!?

オイオイオイ、高坂麗奈さんどうしちゃったんだよ。
ここまで薄かったのに突然百合要素ぶっこんできたよ。やべーやつか?


山頂からはとても綺麗な夜景が見える。
「コレが見たかったのか」という久美子の問いに、「他人と違うことがしたかった」と麗奈は語る。

「久美子ならわかってくれると思って。私、特別になりたいの。他のやつらと同じになりたくない」

真剣に語る麗奈。
白ワンピースの麗奈はとても可憐で、夜景とも相まって神々しさすら感じた。

そのシーンの久美子のモノローグがこれ。

「吸い込まれそうだった。私は今、この時なら、命を落としてもかまわないと思った」


あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!
周囲とは違う2人が惹かれ合うこの感じ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!


そうして2人は、中3の時の送別会で演奏した曲を、2人だけで演奏する。


このシーンは、公式の言葉を借りると、2人が「引力」で結ばれた瞬間だったと思う。


もうひとつ好きなシーンがある。

地区大会では、トランペットのソロパートが存在する。
そのソロの担当は滝先生(と副顧問)によるオーディションで決まることとなる。

結果、麗奈はソロパートを勝ち取ることになるのだが、デカリボン先輩(※1)の様子がおかしい。
デカリボン先輩は中世古先輩(※2)に心酔しており、今年で最後になる中世古先輩にソロを吹かせてあげたいとダダをこねる。
ストイックな麗奈は「私のほうが上手いからソロは私になった」と切り捨てる。

※1 デカリボン先輩 本名は優子。島風みてーなリボンをつけてる、トランペット担当の2年生。中世古先輩に心酔している。
※2 中世古先輩   物腰の柔らかい3年生。麗奈が入るまではトランペットのエースだった。


しかし、滝先生と麗奈は以前から知り合いだったことが暴かれる。
別に言う必要も特にないし、隠していたのも悪いことではないのだが。
それによりオーディションに贔屓があり不正だった、という声が上がり始める。

滝先生は、全員の評価からソロを決める再オーディションを提案する。
全員が見ている前ならば、不正はない。
これまで不満を言っていなかった中世古先輩も、このチャンスは逃せないと再オーディションを希望する。

その後、デカリボン先輩は麗奈にわざと負けるよう頭を下げてくる。
もちろんつっぱねられるが。

再オーディション直前、あれだけ勝気だった麗奈が
「負けたほうがいいのか」「私が勝ったら悪者になる」と弱気になっている。
そんな麗奈に久美子は、「もし悪者になっても私が味方だ」と解く。
「本当?」と問われると、「多分…」と返すしかなくなってしまうのが久美子なのだが。

そして、明らかに友人のソレではないレベルの顔の距離で交わした会話がこれ。

麗奈「そばにいてくれる?裏切らない?」
久美子「もし裏切ったら、殺していい」
麗奈「本気で殺すよ?」
久美子「麗奈ならしかねない、それをわかった上で言ってる」

久美子「だってこれは、愛の告白だから」

ア(絶命)

このアニメなんなん?無理無理ダメダメ尊すぎ


そして「最初から負けるつもりなんてないから」といつもの麗奈に戻り、再オーディションに臨むのであった。


書き方的にどうしてもデカリボン先輩が悪みたいに見えてしまうし、観てる俺もそう見えていたが、
もちろんこれにも理由がある。詳しくは語らないのでぜひ観てくれ。
たぶん脚本の悪意を背負ってしまったキャラじゃないかな。
2期のデカリボン先輩クッソいいキャラしてるし花田のせいだと思う(こじつけ)


リズの話をしていたと思ったらユーフォのくみれいの話をしてしまった。


ちなみに麗奈は滝先生に片思いしているので、レズではないです。
久美子も幼馴染の男に気があるような無いような描写があるので、レズではないです。

しかし、その2人の間に生まれた友情もとい「引力」は、そこに「百合」を感じさせてくれた。

レズとかそういうんじゃなく、女の子同士のアツい何かがそこにあった。

日常、演奏パートどちらの作画も凄まじく、特に演奏パートに関してはキャラたちの迫真の演奏にこちらまで息を呑んでしまう。

リズを観た人もこれから観る人も、ユーフォはぜひ見てみてほしい。


ちなみに、リズと青い鳥のメインになる「みぞれ先輩」と「希美先輩」の出番は1期にはほぼ、というか全くといっていいほど無い。
なのでサクっと予習するには1期総集編→2期本編を観るといい。
2期劇場版はみぞれ先輩と希美先輩の関係性はほぼカットされているらしいので、アニメ版が好ましいらしい。
まだ2期は途中までしか観ていないが、2人の関係とその精算は2期5話で済んだので、
私と同じところ(2期5話)まで見れば大丈夫だと思う。


結論。

ユーフォは良きアニメ。

今日リズ観に行ってきます。